E1166

カレントアウェアネス-E

No.192 2011.04.28

東日本大震災の被災図書館等への支援状況（2011/4/27現在）

　2011年4月7日付けの『カレントアウェアネス-E』No.191に掲載した「東日本大震災の被災者・被災図書館等への支援の輪が広がる」（E1161参照）の続報として4月27日までの主な震災関連情報を紹介する。

●被災地への支援

　日本図書館協会（JLA）が被災地読書支援隊“HELP-TOSHOKAN”という活動を開始した。4月21日に第1回目のボランティア派遣が行われ，宮城県気仙沼市で子どもたちへの配本，読み聞かせ，上映会等の支援がなされた。第2～4回目の派遣が5月に行われる予定である。また，図書館振興財団が被災した公共・学校図書館への業務支援や物品購入支援を開始し，申し込みを受け付けている。　　個別の図書館による支援としては，滋賀県東近江市が岩手県陸前高田市に移動図書館車と図書約5,000冊を寄贈し，北海道滝川市立図書館は図書館巡回車で宮城県内の避難所を訪れて市民から寄贈された図書を子どもたちに届けた。また，鳥取県立図書館や沖縄県宮古島市図書館等が被災地で発行されている新聞を取り寄せて館内で提供している。

●被災した資料のレスキュー

　津波によって天井まで海水に漬かったといわれる岩手県陸前高田市立図書館から県指定文化財の吉田家文書が回収され，県立博物館で修復作業がなされている。泥・塩まみれになった文書を水漬けにして汚れを落とした後で凍結乾燥などの作業を行うそうである。また，同じく津波被害に遭った宮城県名取市内の学校に残された古文書保存のため，歴史資料の保全活動を行っている歴史資料ネットワークが現地入りした。

　株式会社資料保存器材が，海外の保存科学者，図書館員，アーキビスト等から寄せられた情報を「被曝資料の取扱い」という記事にまとめて同社ブログで発表した。「カレントアウェアネス-R」では「被災したデジタルデータの復旧や視聴覚資料の修復についての記事・情報のリンク集」を掲載している。

●被災地支援ウェブサイト

　被災した図書館等の支援のためのウェブサイトがいくつか誕生した。“saveMLAK”はボランティアベースで博物館・美術館，図書館，文書館，公民館の被災・救援情報の入力を進めており，4月23日には「東日本大震災被災支援とMLAK－いまわたしたちにできることは」と題するイベントが行われた。　　また，私立大学図書館協会の「東日本大震災で被災された地域の大学図書館に対する支援」，国立教育政策研究所の「みんなでつくる被災地学校運営支援サイト」，文部科学省の「子どもの学び支援ポータルサイト」，Yahoo! JAPANの「えほんの自由図書館」，国立国会図書館の「東日本大震災復興支援ページ」等のウェブサイトがある。

●震災関連資料の収集・アーカイブ

　震災関連資料を後世に残していこうという動きが始まっている。国内では，Yahoo! JAPANが，投稿された写真を地図上にマッピングしていく「東日本大震災写真保存プロジェクト」を開始した。また，国立国会図書館は被災地の自治体ウェブサイトを収集・保存している。

　海外では，Internet Archiveが震災関連ウェブサイトを収集しているほか，米国のハーバード大学ライシャワー日本研究所が「東日本大震災デジタル・アーカイブ」で英・日・中・韓の4か国語の資料を収集している。また，米国の報道博物館“Newseum”は，宮城県の石巻日日新聞社が避難所等の壁に貼り出していた手書きの『石巻日日新聞』を永久コレクションにすると発表した。

図書館界、図書館情報学に関する最新の情報をお知らせする、国立国会図書館のサイトです。

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